あわれ彼女は娼婦
久しぶりにお芝居を見てきました。シアターコクーンは会社から近いので助かります。
この「あわれ彼女は娼婦」は、その昔、大地喜和子さんが「美しいアナベラ」を演じて評判になったお芝居です。今回、そのアナベラに挑むのは深津絵里さん。兄のジョバンニを三上博史さんが演じます。三上さんの舞台は、最近では「青ひげ城・・・」の第二夫人役とか(つまり女装です)、「へドウィッグ・・・」とか、ちょっと変わった役は見ていますが、ストレートプレイ的なお芝居で見るのは初めてです。
舞台はイタリアのパルマ。町の有力者の家には、学問好きの兄と美しく求婚者が引きも切らない妹がいます。その兄と妹の近親相姦劇。身籠った妹は、それを隠して貴族に嫁ぎ、気づいた貴族は半狂乱になって復讐を企てる。まぁ、言ってみればそれだけの話なんですけれど、そこに絡む脇役たちが面白い。貴族のソランゾと浮名を流していた人妻、風体を変え復讐のために戻ってきたその夫、さらにその姪。その姪と結婚しようとするちょっと足りない男、バーゲット。腹の立つほどずうずうしい枢機卿。個性的なそれぞれの召使たち・・・数え上げればキリがありません。で、気がつくとほとんど皆死んじゃってたりして。
円形劇場を模した舞台のデザインはとてもシンプルです。場面転換のたびに、「シャッ」と効果音が入って、7方向x2階分=窓+出入口計14ヶ所が閉まるのですが、その「シャッ」という音がとても印象的でした。その前に吊るされた赤い糸が、流される血を象徴しているのでしょう「タイタス・アンドロニカス」といい、蜷川さん、このところ赤いリボンで血を象徴、という演出プランをよく取り入れておられるようです。
主演のお2人は、熱演、好演。とてもよかった。アナベラの心臓をえぐり、それを掲げてソランゾの宴席に乱入するジョバンニは、キリスト教的モラルと秩序に対する反逆者です。三上サンの演技にはそれがはっきりと現れていて、そして深津サンのアナベラは、色っぽいというよりかわいらしくて、凛とした強さがあり、パチパチパチと拍手。昔からお上手な三上サンはさておき、深津サンは、最近の若い女優さんのなかでは出色のできだと思います。もう一人、谷原サン。テレビ中心の俳優サンなのであんまり期待していなかったのですが、背が高く舞台栄えする容姿+明晰なせりふ回しで、結構よかったのです。舞台出演を増やすべき役者さんです。(勝手に決めちゃって・・・)
なぜ兄弟が愛し合ってはいけないのか、というジョバンニの問いかけに、彼の学問の師であった修道士は、きちんと答えることができません。枢機卿にいたっては、人違い殺人を犯した自分の甥を、バチカンに逃がして罪を問われないようにするほど、堕落しています。作者のジョン・フォードはシェークスピアとほぼ同じ時代を生きた人ですが、シェークスピア作品に垣間見える「調和」とは程遠いようです。その破綻ぶりが、時代の堕落を告発するという構図になっている、というのはちょっと言い過ぎでしょうが、見ながらいろんな思いがココロを横切るような、そんなお芝居でした。
ただ、最後の枢機卿の台詞回しに異議あり。あんなに「あわれ、彼女は娼婦」と叫ぶのではなく、もっと抑えて、万感の思いを込めて言って欲しかった。でも、あの枢機卿ですからねぇ。人間としてそこまでの洞察力があるはずもない人物です。ただ事件の表層だけをみて、「彼女は娼婦」と決め付けさせることで、教会の矛盾を象徴させるというのが蜷川演出のプランだったのでしょうか???
作:ジョン・フォード 演出:蜷川幸雄 翻訳:小田島雄志 美術:中越司 出演:三上博史/深津絵里/谷原章介/石田太郎/立石凉子/梅沢昌代/高橋洋/中丸新将/有川博/月影瞳/たかお鷹/瑳川哲朗/他
この「あわれ彼女は娼婦」は、その昔、大地喜和子さんが「美しいアナベラ」を演じて評判になったお芝居です。今回、そのアナベラに挑むのは深津絵里さん。兄のジョバンニを三上博史さんが演じます。三上さんの舞台は、最近では「青ひげ城・・・」の第二夫人役とか(つまり女装です)、「へドウィッグ・・・」とか、ちょっと変わった役は見ていますが、ストレートプレイ的なお芝居で見るのは初めてです。
舞台はイタリアのパルマ。町の有力者の家には、学問好きの兄と美しく求婚者が引きも切らない妹がいます。その兄と妹の近親相姦劇。身籠った妹は、それを隠して貴族に嫁ぎ、気づいた貴族は半狂乱になって復讐を企てる。まぁ、言ってみればそれだけの話なんですけれど、そこに絡む脇役たちが面白い。貴族のソランゾと浮名を流していた人妻、風体を変え復讐のために戻ってきたその夫、さらにその姪。その姪と結婚しようとするちょっと足りない男、バーゲット。腹の立つほどずうずうしい枢機卿。個性的なそれぞれの召使たち・・・数え上げればキリがありません。で、気がつくとほとんど皆死んじゃってたりして。
円形劇場を模した舞台のデザインはとてもシンプルです。場面転換のたびに、「シャッ」と効果音が入って、7方向x2階分=窓+出入口計14ヶ所が閉まるのですが、その「シャッ」という音がとても印象的でした。その前に吊るされた赤い糸が、流される血を象徴しているのでしょう「タイタス・アンドロニカス」といい、蜷川さん、このところ赤いリボンで血を象徴、という演出プランをよく取り入れておられるようです。
主演のお2人は、熱演、好演。とてもよかった。アナベラの心臓をえぐり、それを掲げてソランゾの宴席に乱入するジョバンニは、キリスト教的モラルと秩序に対する反逆者です。三上サンの演技にはそれがはっきりと現れていて、そして深津サンのアナベラは、色っぽいというよりかわいらしくて、凛とした強さがあり、パチパチパチと拍手。昔からお上手な三上サンはさておき、深津サンは、最近の若い女優さんのなかでは出色のできだと思います。もう一人、谷原サン。テレビ中心の俳優サンなのであんまり期待していなかったのですが、背が高く舞台栄えする容姿+明晰なせりふ回しで、結構よかったのです。舞台出演を増やすべき役者さんです。(勝手に決めちゃって・・・)
なぜ兄弟が愛し合ってはいけないのか、というジョバンニの問いかけに、彼の学問の師であった修道士は、きちんと答えることができません。枢機卿にいたっては、人違い殺人を犯した自分の甥を、バチカンに逃がして罪を問われないようにするほど、堕落しています。作者のジョン・フォードはシェークスピアとほぼ同じ時代を生きた人ですが、シェークスピア作品に垣間見える「調和」とは程遠いようです。その破綻ぶりが、時代の堕落を告発するという構図になっている、というのはちょっと言い過ぎでしょうが、見ながらいろんな思いがココロを横切るような、そんなお芝居でした。
ただ、最後の枢機卿の台詞回しに異議あり。あんなに「あわれ、彼女は娼婦」と叫ぶのではなく、もっと抑えて、万感の思いを込めて言って欲しかった。でも、あの枢機卿ですからねぇ。人間としてそこまでの洞察力があるはずもない人物です。ただ事件の表層だけをみて、「彼女は娼婦」と決め付けさせることで、教会の矛盾を象徴させるというのが蜷川演出のプランだったのでしょうか???
COMMENT
並べば当日券が手に入るかも。お目当ての役者さんの舞台は是非見てください。
このお芝居も、何日か経って思い返すと、また違った感想も出てきます。
例えば、三上さんの演じたジョバンニ。
傍目には狂気と見えても、実は正気というあのクライマックスの演技は、誰にでもできるものではありません。
このお芝居も、何日か経って思い返すと、また違った感想も出てきます。
例えば、三上さんの演じたジョバンニ。
傍目には狂気と見えても、実は正気というあのクライマックスの演技は、誰にでもできるものではありません。
2006/07/24(月) 22:58:27 | URL | Carat #bgxCnv1A[編集]
舞台は見たことないけど、私も深津絵里は大好きです。渋谷は便利でいいですね。
2006/07/22(土) 12:14:45 | URL | susan #CjIliHw2[編集]
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