最後の瞬間のすごく大きな変化

もうお出かけはしない連休後半、家に籠って増えすぎて収拾のつかなくなった本の整理をしています。これまでは、好きな作家の作品を一番取り出しやすい高さの所に置いて、あとは結構適当に置いていたのですが、持っている本をダブって買ってしまわないよう、組織的に整理をしようと思い立ったようなわけで。
だんだんと記憶力の衰える哀しさ。本屋さんでこれは読んだか?と迷うことも多くなりました。情けなや、情けなや。

しかし、古い本は埃っぽい。扉つきの本棚なんですけどね。さっきから鼻水とクシャミが止まりません。みごとなハウスダストアレルギー症状です。

湯治に行く前に読んでいた本です。

4月25日−27日  グレイス・ペイリー 「最後の瞬間のすごく大きな変化 (文春文庫)

ペイリーさんは、「たった3冊の短編集で、50年の間、圧倒的支持と尊敬を受けつづけている」作家だそうです。いったいどのようなアメリカ人が、このご婦人の作品を支持しているのか、と不思議に思いました。なんだか妙に冷静で、老いや貧困を突き放してぽーんと放り投げて読者に差し出した、とでもいうような。
サポーターは知識人、であることは間違いありません。
ユダヤ人、ではないでしょう。

村上さんの訳は、とくにアメリカの現代の作家を訳す場合、どちらかというと訳文を自分の文体に引き寄せてくるような感じがあるのですが、今回は、しっかり作者のオリジナルの文体と格闘していることをうかがわせるような文章になっているように思えます。

ペイリーさんは、急進的な政治活動、社会活動に積極的に関与してきた、アメリカの社会では少数派に属する方のようです。村上さんは、政治的な発言は一切せずに、それでいて体制の外縁あたりになんとなく上手に居場所を作ってきた作家さんだと思います。そんな村上さんが、惚れ込んで訳しているというのが、なんとも面白い。

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CATEGORY : | THEMA : ブックレビュー | GENRE : 本・雑誌 |

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