湯治 つづき
湯治3日目の5月1日、今日は暑くなるんだってさ、と言いつつ、帽子もかぶらず水も持たず、山奥にある重要文化財を見ようと出かけていった軽率な都会者二人…40分という道のりが、ずーっと上りだとは!
「まだ?」
「まだ20分しか歩いていない」
「うそ!」
「藤って、ほかの木に巻きつくのね」
「だからあんなふうに、藤棚を作れるんだ」
らちのない話をしながら、とにかく歩くしかありません。歩いているのは山道ではなく、車が走る舗装された道です。ただ、こんなに静かな山の道路は初めて。思い出したように通る車を見かけるだけで、歩いている人には全く会いません。突然、路肩の枯れ草ががさがさと音を立てて、見れば1mほどのシマヘビ様が蛇穴へとお帰り遊ばすところでした。

飲み物の自動販売機などあるわけがなく、「マラソン並みの運動じゃない。なんてこと!」 痩せると信じて、湯の奥という集落まで、必死の行軍です(古いか…)。その間にも気温はどんどん上昇し、流れる汗は半端ではありません。結局40分では行き着けませんでした。1時間弱というところでしょうか。
やっとたどり着いた湯の奥は、山の斜面に畑があり、家があり、集落のメインストリートは脇に水が流れ風情のある石畳。美しい山村でした。ここまでくると、あのうるさいほどのウグイスの声ももう聞こえません。ウグイスは里近くに住む鳥らしいと、勝手に納得してみましたが、さて?


国の重要文化財に指定されている「門西家」は、萱葺き屋根も美しい入母屋造りの建物です。現在もお住まいになっているので、中を拝見させていただくことは遠慮しました。
このあたりの集落、湯の奥とはよく言ったものですが、金山の管理のために室町時代から人が住み始めたとのことです。峠を抜けると静岡県で、富士山の絶景がみられるとか。

門西家を過ぎて少し上ったところには、小さな祠がありました。「ぱっくんおおかみとおばけたち」の舞台だな、と一人感心。(この絵本、ご存知の方がいらっしゃるかしら…)

苦行のあとには、思いもかけぬ喜びが待っていました。石畳を下り始めたところ、ちょうどお昼で畑から戻ってこられたおばあさまが声をかけてくださって・・・脱水症状一歩手前の私たち、ご迷惑を顧みず、お言葉に甘えてお茶をご馳走になることに。なんと、なんと、お茶どころか、お茶請にと最中、かぼちゃの煮物、お漬物、といろいろお接待に預かることになってしまいました。最後にはお餅まで! 私たち、よほどひどい足どり、顔つきだったのでしょう。
このおばあさまは、ご主人に先立たれてからもう10年も一人暮らしをしておられるとのこと。娘さん二人は池袋にお住まいだとかで、お孫さんのこと、築60年近いというお住まいのこと、民宿をなさった頃のこと、いろいろとお話をするうちに、上の娘さんが私とは大学の同窓でちょっぴり先輩であることが分かり、まるで親戚の家を訪ねたかのようにくつろいだ心持になってしまいました。
「一人暮らしは寂しくはない、ただ伴侶をなくした悲しみは簡単に消えるものではない」とは、なんと含蓄のある言葉でしょう。しゃっきりと暮らしていらっしゃるだけでなく、ご自分の言葉で語りかけることの出来るこんな素敵なおばあさまにお会いできるとは、まっこと、息を切らし顔を真っ赤にして歩いてきた甲斐があったというものです。
さて、今回の湯治、図らずもおばあさま方との出会いの旅となりました。源泉でお会いした方、同じお宿に泊まっておられた観光農園のおばあさま。「息子がサラリーマンを辞めて帰ってきてくれたので全部譲って、息子夫婦のやりたいようにやらせているんです」と言いつつしっかりお宿をまもっておられるおかみさん。湯の奥で一人家を守っていらっしゃるおばあさま。たくさんの素敵なおばあさま方にお会いできて、とてもよい旅ができました。
そうそう、あちこち痛かった体も、なにやら元気になったような・・・
「まだ?」
「まだ20分しか歩いていない」
「うそ!」
「藤って、ほかの木に巻きつくのね」
「だからあんなふうに、藤棚を作れるんだ」
らちのない話をしながら、とにかく歩くしかありません。歩いているのは山道ではなく、車が走る舗装された道です。ただ、こんなに静かな山の道路は初めて。思い出したように通る車を見かけるだけで、歩いている人には全く会いません。突然、路肩の枯れ草ががさがさと音を立てて、見れば1mほどのシマヘビ様が蛇穴へとお帰り遊ばすところでした。

飲み物の自動販売機などあるわけがなく、「マラソン並みの運動じゃない。なんてこと!」 痩せると信じて、湯の奥という集落まで、必死の行軍です(古いか…)。その間にも気温はどんどん上昇し、流れる汗は半端ではありません。結局40分では行き着けませんでした。1時間弱というところでしょうか。
やっとたどり着いた湯の奥は、山の斜面に畑があり、家があり、集落のメインストリートは脇に水が流れ風情のある石畳。美しい山村でした。ここまでくると、あのうるさいほどのウグイスの声ももう聞こえません。ウグイスは里近くに住む鳥らしいと、勝手に納得してみましたが、さて?


国の重要文化財に指定されている「門西家」は、萱葺き屋根も美しい入母屋造りの建物です。現在もお住まいになっているので、中を拝見させていただくことは遠慮しました。
このあたりの集落、湯の奥とはよく言ったものですが、金山の管理のために室町時代から人が住み始めたとのことです。峠を抜けると静岡県で、富士山の絶景がみられるとか。

門西家を過ぎて少し上ったところには、小さな祠がありました。「ぱっくんおおかみとおばけたち」の舞台だな、と一人感心。(この絵本、ご存知の方がいらっしゃるかしら…)

苦行のあとには、思いもかけぬ喜びが待っていました。石畳を下り始めたところ、ちょうどお昼で畑から戻ってこられたおばあさまが声をかけてくださって・・・脱水症状一歩手前の私たち、ご迷惑を顧みず、お言葉に甘えてお茶をご馳走になることに。なんと、なんと、お茶どころか、お茶請にと最中、かぼちゃの煮物、お漬物、といろいろお接待に預かることになってしまいました。最後にはお餅まで! 私たち、よほどひどい足どり、顔つきだったのでしょう。
このおばあさまは、ご主人に先立たれてからもう10年も一人暮らしをしておられるとのこと。娘さん二人は池袋にお住まいだとかで、お孫さんのこと、築60年近いというお住まいのこと、民宿をなさった頃のこと、いろいろとお話をするうちに、上の娘さんが私とは大学の同窓でちょっぴり先輩であることが分かり、まるで親戚の家を訪ねたかのようにくつろいだ心持になってしまいました。
「一人暮らしは寂しくはない、ただ伴侶をなくした悲しみは簡単に消えるものではない」とは、なんと含蓄のある言葉でしょう。しゃっきりと暮らしていらっしゃるだけでなく、ご自分の言葉で語りかけることの出来るこんな素敵なおばあさまにお会いできるとは、まっこと、息を切らし顔を真っ赤にして歩いてきた甲斐があったというものです。
さて、今回の湯治、図らずもおばあさま方との出会いの旅となりました。源泉でお会いした方、同じお宿に泊まっておられた観光農園のおばあさま。「息子がサラリーマンを辞めて帰ってきてくれたので全部譲って、息子夫婦のやりたいようにやらせているんです」と言いつつしっかりお宿をまもっておられるおかみさん。湯の奥で一人家を守っていらっしゃるおばあさま。たくさんの素敵なおばあさま方にお会いできて、とてもよい旅ができました。
そうそう、あちこち痛かった体も、なにやら元気になったような・・・
COMMENT
箱根や熱海のような「立派な温泉」もいいけれど、山の中のひなびた「湯治場」にはまた違った風情があります。良かったですよ。
あれだけ人がいなくてウグイスが啼いていると、蛇が出ても不思議じゃない気がしたのですが。いえ、むしろ単に反応が遅かっただけ、というべきか(笑)
あれだけ人がいなくてウグイスが啼いていると、蛇が出ても不思議じゃない気がしたのですが。いえ、むしろ単に反応が遅かっただけ、というべきか(笑)
2006/05/07(日) 20:25:06 | URL | Carat #-[編集]
Caratさんこんにちは!
素敵な旅をしていらしたのですね。
お仕事で疲れた体がだいぶ復活しましたか?
自然と人と触れ合う旅は私も大好き!
日本の良さも年を重ねるほどに感動するような気がします。
蛇が出てきても、動じないところがすごいですね(笑)
素敵な旅をしていらしたのですね。
お仕事で疲れた体がだいぶ復活しましたか?
自然と人と触れ合う旅は私も大好き!
日本の良さも年を重ねるほどに感動するような気がします。
蛇が出てきても、動じないところがすごいですね(笑)
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