自分自身への審問

頭の芯が痛い。日本酒を飲んだ後はいつものことです。昨日は深酒をした覚えはないのですが・・・出かけそびれたので、時間をもてあまし気味。こういう時に、辺見庸さんの新著のことを書いておきましょう。

4月7日−8日 辺見庸 「自分自身への審問」 (毎日新聞社)
辺見さんは、現在闘病中です。2年ほど前、公演中に脳出血で倒れ、リハビリ中に今度は癌が見つかり手術。ご本人の言によると、「この2年で体重を15キロ失い、少なくても10年分は老けた」そうです。そのような状況のなか、「右手が使えないから書くのではなく、ポツリポツリと超スロー・ペースでパソコンを打」ちながらしたためたのがこの本です。



脳出血後、辺見さんの病状は決して軽くはなかったはずです。普通の人間なら、多少なりとも身体的な機能が回復すればそれでよしとして、ただ生ある日々が繰り返されていくだけで満足してしまいそうなものです。しかし、幸運にも言葉を失わずにすんだ辺見さんは自分に問いかけることを止めません。記憶について、死について、この国のあり方について・・・ なんという気力、なんという真摯な生き方でしょう。卑しくも知識人あるいは文化人と称される人々のうち、ここまで突きつめて考えている人がどれだけいることか!

横浜で辺見さんの講演を聞いたことがあります。倒れる数ヶ月前のことでした。辺見さんは、いくつかの風景を例にとりながら、9.11以降の世界の危うさについて、この国が歩もうとしている「いつか来た道」について、低い力のこもった声で警鐘を鳴らしていらっしゃいました。一過性の怒りではなく、心の内に籠められた持続する怒りを、言葉の端々から聞き取ることができました。この人は、相当な覚悟をもって、ものを書き語っているのだと、心を打たれたことを覚えています。

どうぞまた書いてください。回復されたら、また話を聞かせてください。
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CATEGORY : | THEMA : 読んだ本。 | GENRE : 本・雑誌 |

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