劇場の広さ

赤坂サカスって、何よ。
名前が気に入りません。なんでもカタカナにすればいいってもんじゃない。
ぶつぶつ言いつつ、出かけて行った千代田線の赤坂駅は、すっかり様変わりしていました。改札口を出るとすぐにゆるやかな幅広の階段が始まり、人波はそのまま、サカスとやらに飲み込まれていきます。

TBS会館のトップスにカレーを食べに行くのが、贅沢だった時代もありました。トップスは、今やデパ地下でチーズケーキを買う店になってしまいましたが、カレーを食べられる店もあるのでしょうか?

チェーホフ 「かもめ」 @赤坂ACTシアター

作:アントン・チェーホフ 演出:栗山民也 出演:藤原竜也/鹿賀丈史/美波/小島聖/中嶋しゅう/藤木孝/藤田弓子/たかお鷹/勝部演之/麻実れい

開演前、案内係のおねーさんが声を張り上げて、客を誘導しています。まだソフトがついていっていないみたいね〜、と思いつつ席へ。2階の、それも相当に後ろの方の席でした。2階席は、他の劇場に比べるとはるかに勾配が急です。なにやら、鹿島スタジアムの2階席からピッチを見下ろしているような気がしました。それだけ舞台はしっかり見えるということなのですが。

さて、栗山民也演出の舞台は、いい役者さんを揃えた贅沢なものでした。美波チャンは、去年「エレンディラ」で初めて見て、へぇ〜っと思った若い女優さん。今回は、前半は初々しく、後半はどこか投げやりにニーナを演じています。トレープレフ役の藤原くんは、本当に、いい役者さんになったわねぇ。ミーハー的な人気もありますが、演技者として、若手俳優の中では出色。トレープレフの母で大女優のアルカージナは、麻実れいさん。この人の声は素晴らしい。とにかく、出演者全員、とてもよい味を出しています。鹿賀丈史が平凡に見えるくらい。

この「かもめ」は、さまざまな対立を内包した劇です。アルカージナに代表されるエスタブリッシュメントの身勝手さと、彼らに歯の立たない息子トレープレフの絶望。ニーナも、憧れと現実は別のものだと思い知らされて、戻ってきます。つまり、若い二人は共に挫折してしまうわけです。若者のエネルギーが行き場を失ったように見える現代の寓話としてみると、なかなかに面白いかもしれない。

役者は好演、今の時代にチェーホフも意味あり・・・でも、だから何なの?なにか、引っ掛かるものが残りました。今の観客にこれを伝えたい、というメッセージが希薄だったからかな、などど、帰り道、つらつらと考えていて、やはり、劇場が大きすぎたことが一番の違和感の原因ではないか、と思い至りました。人気俳優をそろえ、集客の見込める芝居でも、やはり入れ物の大きさも考えてほしかった。

渋谷のオーチャードホールでは、ストレートプレイが上演されることはないように思います。そのあたりが劇場側の見識の差なのでしょう。

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