まっとうな人、まっとうな考え方
このところ、仕事が忙しいので、真面目に生きております。正確には、ふらふらと飲み歩く元気が残っていない。誘ってくれる人がいないという噂もありますが、それはさておき・・・読んでいる本も、とても真面目な内容のものばかりでございます。
後藤正治 「ベラ・チャスラフスカ 最も美しく」 (文春文庫)
どのくらいの人が、東京オリンピックを覚えているのでしょう?
小学生なら覚えているとして、1964年に7歳ということは、1957年生まれ。きゃぁ〜、50歳以上なんですね。なんてことでしょう。
私が覚えているのは、陸上100Mのボブ・ヘイズ、棒高跳びのハンセンvsラインハルトの死闘、水泳のドン・ショランダー、それに東洋の魔女のキャプテン河西昌枝など。日本がやたらと強かったのがレスリングと男子の体操でした。そして、本当にきれいだなぁと思ったのが、女子体操のベラ・チャスラフスカ。この本は、同時代に生きたチェコの人々、交流のあった日本や好敵手ロシアの体操界の人々などに丹念な取材を行いインタビューを繰り返す中で、チャスラフスカの人となりや生き様を浮かび上がらせたものです。
プラハの春。1968年、彼女の祖国チェコスロバキアは、短いプラハの春のあと、ソ連軍の侵略を受けました。そのような状況の中で、出場もあやぶまれたメキシコオリンピックでしたが、チャスラフスカは、二連覇を遂げます。そして、メキシコで同じチェコの陸上選手と結婚。しかし、帰国後、二千語宣言への署名撤回を拒んだチャスラフスカは、その後苦難の日々を歩むことになります。
プラハの春とその後の暗黒時代を知る上でも、とても為になる本。
高村薫 「作家的時評集 2000-2007」 (朝日文庫)
上記の後藤さんは1946年生まれですが、高村さんは1953年の生まれ。団塊の世代にはカウントされませんが、私とはほぼ同世代といって差し支えないでしょう…
2000年から、高村さんが新聞、雑誌などに発表した時評を集めたものです。まずその年の主な出来事が年表スタイルで記載されており、高村さんの時評が時系列的に続きます。これはとてもわかりやすいスタイル。
高村さんは、繰り返し「選挙に行こう」と呼びかけます。小泉元首相の語法を分析し、その政治を批判します。「物書き」として言葉にこだわり、考える道具と論理を失いつつある同時代人に、警鐘を鳴らします。
高村さんが述べているのはとてもまっとうな意見ばかりです。思い込みや論理の飛躍は見られません。小説家・高村薫を私は高く評価するものですが、言葉にこだわり、言葉から時代を読み解こうとする姿勢も素晴らしい。この国の未来は決して明るくないのだけれど、あきらめずに「物書き」として発言を続ける姿勢に、きっぱりとした女の強さを感じます。
感性ばかりがもてはやされてはいけないのです。
後藤正治 「ベラ・チャスラフスカ 最も美しく」 (文春文庫)
どのくらいの人が、東京オリンピックを覚えているのでしょう?
小学生なら覚えているとして、1964年に7歳ということは、1957年生まれ。きゃぁ〜、50歳以上なんですね。なんてことでしょう。
私が覚えているのは、陸上100Mのボブ・ヘイズ、棒高跳びのハンセンvsラインハルトの死闘、水泳のドン・ショランダー、それに東洋の魔女のキャプテン河西昌枝など。日本がやたらと強かったのがレスリングと男子の体操でした。そして、本当にきれいだなぁと思ったのが、女子体操のベラ・チャスラフスカ。この本は、同時代に生きたチェコの人々、交流のあった日本や好敵手ロシアの体操界の人々などに丹念な取材を行いインタビューを繰り返す中で、チャスラフスカの人となりや生き様を浮かび上がらせたものです。
プラハの春。1968年、彼女の祖国チェコスロバキアは、短いプラハの春のあと、ソ連軍の侵略を受けました。そのような状況の中で、出場もあやぶまれたメキシコオリンピックでしたが、チャスラフスカは、二連覇を遂げます。そして、メキシコで同じチェコの陸上選手と結婚。しかし、帰国後、二千語宣言への署名撤回を拒んだチャスラフスカは、その後苦難の日々を歩むことになります。
プラハの春とその後の暗黒時代を知る上でも、とても為になる本。
高村薫 「作家的時評集 2000-2007」 (朝日文庫)
上記の後藤さんは1946年生まれですが、高村さんは1953年の生まれ。団塊の世代にはカウントされませんが、私とはほぼ同世代といって差し支えないでしょう…
2000年から、高村さんが新聞、雑誌などに発表した時評を集めたものです。まずその年の主な出来事が年表スタイルで記載されており、高村さんの時評が時系列的に続きます。これはとてもわかりやすいスタイル。
高村さんは、繰り返し「選挙に行こう」と呼びかけます。小泉元首相の語法を分析し、その政治を批判します。「物書き」として言葉にこだわり、考える道具と論理を失いつつある同時代人に、警鐘を鳴らします。
高村さんが述べているのはとてもまっとうな意見ばかりです。思い込みや論理の飛躍は見られません。小説家・高村薫を私は高く評価するものですが、言葉にこだわり、言葉から時代を読み解こうとする姿勢も素晴らしい。この国の未来は決して明るくないのだけれど、あきらめずに「物書き」として発言を続ける姿勢に、きっぱりとした女の強さを感じます。
感性ばかりがもてはやされてはいけないのです。
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