たんば色の覚書

休み中も、こまめに会社のメールチェックをして、スパムメールは極力削除していたつもりだったのですが、2週間分のスパムメールの量は半端ではありませんでした。会社で使っている2つのメールアドレスのうち、片方はレプリカ・ウォッチとバイアグラ(英語メール)、もう一方は出会い系サイト(日本語メール)の洪水。いったい誰が、何のためにこういうバカなメールを送っているのでしょう・・・引っかかる人がいれば、ご褒美でももらえるのかしら。考えてみれば、アフィリエイトなんていうお小遣い稼ぎも、ご褒美という意味ではおんなじ仕組みであるわけで・・・変なお金儲けは止めましょうね。

辺見 庸 「たんば色の覚書 私たちの日常」 (毎日新聞社)

さまざまな青のグラデーションは、私の大好きな色あいでもあるのですが、その一つに鉱物のたんば(胆礬)の名前に由来するたんば色という色があることを、初めて知りました。辺見さんは、取材で訪れたアフガニスタンの空には、ほとんどすべての青があったといいます。そして、狂乱の赤と対比させたとき、清冽な青こそが人を「正気で殺す」色なのではなかろうか、と説きます。

この本では、辺見さんの友人である確定死刑囚のことが、幾度か取り上げられています。人が人を殺すことは、理由のいかんを問わず悪である、ましてやそれを死刑という制度で正当化することは許されるべきではない、というのは、辺見さんの変らぬ主張。

最後に収められた「私たちの日常」は、講演草稿をもとに加筆修正したものだそうです。その中にいくつか、胸を衝かれるエピソードが紹介されていました。

一つは、54歳で他界されたある女性のこと。彼女は、余命わずかな日々のなかで、辺見さんの著書の点訳を最後まで続けられたというのです。(この方のことに触れたブログがありました。「Littlefiddlerの読書記録」)

そしてもう一つは、CCRの「雨を見たかい?Have you ever seen the rain?)」という曲の歌詞にある「It’ll rain a sunny day」や「shinin’ down like water」が、ナパーム弾が降り注ぐ風景を歌ったものだということ。このナパーム弾の話は、ショックでした。新鮮なショック、というべきか。まさに、正気で人を殺す青の世界がそこにありました。

辺見庸さんは、筋を通すことの大切さを身をもって示しておられる点で、ワタクシが深くご信頼申し上げる「知識人」のお一人ですが、闘病生活の中、このところ一段と著作のペースをあげておられるように感じます。それが、ご自身の生に対する切迫感から来たものだとしたら、私はとても悲しい・・・


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