当たり前のことを言う
インターネットは、不思議な道具です。誰でもが、ブログのような情報発信手段・意見公開手段を容易に持つことが出来る。それは素晴らしいことなのだけれど、闇サイトだのブログ炎上だの、ネット絡みのニュースで、うんざりさせられることもあります。(もちろん、私の書いているようなブログは、炎上するほど多くの人に読まれているわけじゃありませんが。)
池澤夏樹 「虹の彼方に 池澤夏樹の同時代コラム」 (講談社)
池澤さんは、私が(勝手に)深く信頼している作家です。現代の日本の知識人(と言っていいのか)の中で、特に政治的な発言をしてきたわけではありません。が、氏が2000年から2006年にかけて月刊『現代』の巻頭コラムとして書いた文章を中心に編んだこの本は、ある立場の人たちから見れば、危険な政治的発言と取られるような内容を多く含んでいます。
まえがき、で池澤氏はこう述べています。
その頃ぼくは沖縄に住んでいて、政治的話題は周囲に満ちていた。政治に無縁で暮らせるのはある意味で幸福なことであるけれども、沖縄の人々はその幸福を奪われていた。そういうことを書いているうちに9.11がきた。日本は暴走するアメリカの後を追い、やがて僕は偶然きっかけを得て開戦前夜のイラクに行った。
Somewhere over the rainbow, skies are blue ・・・ 虹の彼方には青い空があるけれど、僕たちの周囲には強風が吹き荒れている。その風に翻弄されながら、自分の考えという杭に何とかしがみついて書いたのがこれらのコラムである。この数年間の世界と日本の激動を思い出しながら読んでいただきたい。
自分は政治的な人間だとは思わない、という池澤氏ですが、その通り、「自分の考えという杭にしがみついて書いた」さまざまな事象や意見は、一市民としてごく当たり前の感じ方・考え方であり、意見の表明であると、私には思えます。
ただ、誰もがインターネットを使うようになって以来、当たり前のことを当たり前に発言するのが、かえって難しくなったという側面も無視するわけにはいきません。時代の閉塞感もあってか、人は電脳空間の匿名性の壁の後ろで、やたらと短絡的になり、攻撃的になり、極端な意見を好むようになっているような気がします。政治の世界が特に危うい。ポピュリズムはファシズムと紙一重。
そんな時代に、この本を上梓すること自体、じつは、とても勇気が要ることだったのではないでしょうか。ネットじゃないから、炎上しないって?たしかに、こういう本はベストセラーにはなり得ません。だから大丈夫?
いえ、そういうことではないのです。
ジャーナリズムから第四の権力たるべき矜持が失われた今、問われているのは、私たち一人一人の意識であり、社会とのかかわり方だと思うのです。
私たちは、当たり前のことをきちんと発言していくべきなのだ。ネットという道具を手にした今こそ、その時なのだ。そんな風に考えてみたりして・・・
池澤夏樹 「虹の彼方に 池澤夏樹の同時代コラム」 (講談社)
池澤さんは、私が(勝手に)深く信頼している作家です。現代の日本の知識人(と言っていいのか)の中で、特に政治的な発言をしてきたわけではありません。が、氏が2000年から2006年にかけて月刊『現代』の巻頭コラムとして書いた文章を中心に編んだこの本は、ある立場の人たちから見れば、危険な政治的発言と取られるような内容を多く含んでいます。
まえがき、で池澤氏はこう述べています。
その頃ぼくは沖縄に住んでいて、政治的話題は周囲に満ちていた。政治に無縁で暮らせるのはある意味で幸福なことであるけれども、沖縄の人々はその幸福を奪われていた。そういうことを書いているうちに9.11がきた。日本は暴走するアメリカの後を追い、やがて僕は偶然きっかけを得て開戦前夜のイラクに行った。
Somewhere over the rainbow, skies are blue ・・・ 虹の彼方には青い空があるけれど、僕たちの周囲には強風が吹き荒れている。その風に翻弄されながら、自分の考えという杭に何とかしがみついて書いたのがこれらのコラムである。この数年間の世界と日本の激動を思い出しながら読んでいただきたい。
自分は政治的な人間だとは思わない、という池澤氏ですが、その通り、「自分の考えという杭にしがみついて書いた」さまざまな事象や意見は、一市民としてごく当たり前の感じ方・考え方であり、意見の表明であると、私には思えます。
ただ、誰もがインターネットを使うようになって以来、当たり前のことを当たり前に発言するのが、かえって難しくなったという側面も無視するわけにはいきません。時代の閉塞感もあってか、人は電脳空間の匿名性の壁の後ろで、やたらと短絡的になり、攻撃的になり、極端な意見を好むようになっているような気がします。政治の世界が特に危うい。ポピュリズムはファシズムと紙一重。
そんな時代に、この本を上梓すること自体、じつは、とても勇気が要ることだったのではないでしょうか。ネットじゃないから、炎上しないって?たしかに、こういう本はベストセラーにはなり得ません。だから大丈夫?
いえ、そういうことではないのです。
ジャーナリズムから第四の権力たるべき矜持が失われた今、問われているのは、私たち一人一人の意識であり、社会とのかかわり方だと思うのです。
私たちは、当たり前のことをきちんと発言していくべきなのだ。ネットという道具を手にした今こそ、その時なのだ。そんな風に考えてみたりして・・・
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