男の子

今日から、ゴールデンウィークなんだそうです。でも、お天気同様、私の心も晴れません。ひどく心が鈍くなっているのを感じます。もしや離人症?

宮部みゆき
今夜は眠れない
夢にも思わない」 (中公文庫)


それなりにアタマは使う日々ですが、感性の方が追いつかない。それで、宮部みゆきさんで、気分転換。天野くんと島崎くんの活躍(?)する、2作のシリーズものを手に取ったというわけです。こういうときには、文庫本も捨てずに抱えている甲斐があったというものだと、つくづく思います。 

息子を持つ友人たちは、息子は母親にやさしいといいます。おそらく、それは正しいのだと思います。娘たちは、やさしくない。笑顔の裏に隠したかすかな憎悪までも、わかってしまうから。

天野くんも島崎くんも、いい子です。巻き込まれた事件を解決してしまうほど頭もよいのに、子供らしい無邪気さも残しているし、まわりの大人に対する思いやりもある。どうせなら、こんな息子を育ててみたかった。

ネコ息子は育てましたけれど。
かわいさだけで生きていけるネコ族は、人間でいえば幼稚園時児くらいまでのもの。身近でみたかったのは、少年です。

2008/04/26 23:02 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

池澤夏樹 「すばらしい新世界」

ノリコさんへ

先週の金曜日は、ものすごい風でしたね。駅まで歩いて行く途中で、傘が折れ、一番近いコンビニで買いなおす羽目に陥りました。店長さんが、「この風に耐える傘を」と思ったのか、あるいは安いものから売れてしまったのか、4〜500円の透明ビニールの傘はなく、1000円の大きな傘しかなく、朝から、散財をしてしまいました。

しかし、すごい風でした!また荒川橋梁の観測機器が基準値を上回る風力をたたき出すのではないかと、ヒヤヒヤしました。自分の乗った電車が、風に舞いあげられる図なんてのは、案外簡単に想像できてしまうものです。そのものすごい風を受けて歩きながら、風力発電のことを考えていました。風力発電には、突風じゃなくて、安定した風のほうがいいんだろうな、なんて。

そうそう、お手紙を書こうと思ったのは、池澤夏樹さんの小説についてです。ヒマラヤ、NGO、農業、とノリさんとの共通点が多くて、これはぜひお話ししなくては、と思ったのです。

こないだお会いした時に、「年を取ってからする仕事で、一番いいのは農業よ。」と言ってらっしゃいましたよね?その時私は、「別居した夫と妻が、それぞれに、農業を志すようになる、という小説をよんだわよ。」と答えたのですが、その小説というのは、池澤夏樹さんの「光の指で触れよ」です。これは、読売新聞に連載されていたものですが、数年前に出た「すばらしい新世界」の続編のような位置づけになっています。それで、まず、ヒマラヤの登場した「すばらしい新世界」から、2作つづけて読みなおしました。読書スピードを誇る私には珍しく、考え考え時間をかけて。

今日はとりあえず「すばらしい新世界」のことを。
新聞の連載は、1999年。世の中が、2000年問題で騒いでいた頃です。9.11もまだ起こっていません。そのことを、頭の片隅に置いておく必要があるかもしれません。

大きなメーカーの中で風力発電に携わるエンジニアの林太郎と、環境問題にかかわるNGOでニュースレターを編集するアユミの夫婦。彼らのあいだには、森介という息子がいます。アユミのネットワークを通じて、ヒマラヤの奥地に風力発電用の風車を建ててほしい、という依頼があり、林太郎は、会社の上司を説得し、壊れにくく、保守の手間がかからないシンプルで小さな風車を設計します。会社は、僻地には案外そういう小さな風車のニーズがあるのではないか、とビジネス面も考慮した上で、この小さな風車の開発プロジェクトにGOサインを出しました。ただ、林太郎とアユミは、それまでの自分たちの思想・信条の延長線上で、環境問題や海外援助の在り方などを議論し尽くしたうえで風車プロジェクト(「カジマヤー」プロジェクトと彼らは呼んでいます)に踏み出したのです。いわば、家族の総意としてのプロジェクト。

このカップル、とてもよく話をするのです。私たちが若かったころ、恋人たちもカップルも、大義とか正義とかそういうある意味哲学的な事柄について話すことが、今の若者たちよりずっと多かったと記憶しているのですが、ここまで同志的な関係を保ち続けるカップルは、実際には少なかったでしょうね。林太郎がヒマラヤに行ってからは、衛星電話を通じてメールのやりとりを続けます。まぁ、そのあたりは小説ですから・・・

林太郎は、発電に使うための風車を立てるためにネパールに行き、現地のNGOで活動する日本人たちや、ネパール人のガイド、その友だちなど、さまざまな人々とかかわりを持ち始めます。そして、風車の保守を現地の人々に覚えてもらうために、科学の基礎の授業まで始めます。それをパッケージにして、初めて一つの「製品」だと林太郎は考えるわけで(最近のPCとそのソフトの売り方とは正反対ですね。)つまり、技術移転の原点に戻ろうということ。これは、実際にできるかどうかは別にして、きわめて正しい考え方と、その結果としての正しい方法論だと思います。

ヒマラヤの精霊たちに気に入られた林太郎は、帰り支度を始めると熱がでるようになってしまいます。それで、村の長老(というか祈祷師というか)から言われた「家族が迎えに来れば、日本に帰れる」という言葉をよりどころに、妊娠中のアユミの代わりに、息子の森介が迎えに来ました。その後、話はチベット問題やチベット仏教のほうに逸れていくのですが、それはおまけ。

池澤さんは、この小説の中で、ずいぶんとたくさんの問題提起をしています。やはり新聞に小説を連載するにあたって、読者へのメッセージを込めたということなのでしょう。そういう意味では意欲作ですが、文体や構成といった部分はとてもオーソドックスです。言葉の洪水というきらいは無きにしも非ずですけれど、その言葉を追いながら、読み手である私も、一生懸命考える。環境問題に限らず、世界には問題が山積しているのに、目をつぶって耳をふさいで、心を閉じて生きることは罪ではないのか、と。

「すばらしい新世界」は、家族が沖縄に台風を見に行くところから始まり、北海道で新しい大型風力発電装置を見るところで終わります。この家族にとっては、ヒマラヤとのかかわりが、<すばらしい新世界>へのとば口になりました。どうも皆さん、ヒマラヤに一度行くとすっかり夢中になってしまうようですが、私の新しい価値観や新しい世界へのとば口は、どこにあるのでしょうね。

ノリコさんのヒマラヤ旅行の話を、また聞かせてください。ではでは。


池澤夏樹 「すばらしい新世界」 (中央公論新社)

タグ : 池澤夏樹

2008/04/20 23:54 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

そろそろ新緑?

寒かったり暑かったり、気候不順で、体調悪し。花粉アレルギーは、やっぱり杉よりヒノキのほうが問題か・・・

桜の季節も終わったので、またまたテンプレートを変えてみました。このところ、相当、テンプレートで遊ばせてもらっています。自分で作るテクニックは持ち合わせていませんので、公式・共有など、どなたかが公開しておられるテンプレートを使わせていただいているわけですが、季節に合わせて、4つぐらい自作のものを用意すべきではないか、と考えているところです。そんな大それたことが、できるのか?

スピーカー・ケーブルも変えました。それで音が変わったかどうかは・・・残念ながら聞き分ける耳がない。いぇ、ケーブルで劇的に音を変えようとしたわけではありません。これまで使っていたケーブルが、あまりにも古びてしまったので、なんだか、どんどんと年老いて錆びついていく自分の血管を見ているようで、いやになったのです。

気合いを入れて読もうと思っている本が、山積みになってきました。重いなぁ、と思いつつ、毎日単行本を持ち歩く日々。とりあえず、池澤夏樹さんのものから読んでいます。新刊も2冊、間をおかずに出ましたし、活動期にはいられたのでしょうね。

さてさて、ゴールデンウィークまであと2週間!なんとまぁ、月日の経つのは早いことか。

2008/04/15 23:51 | 雑記COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

友は雨とともに・・・

桜がぱぁっと咲いた3月末、一時帰国したアメリカ在住の友人と久しぶりで会った日も雨でした。昨日も雨。昨日は、高校以来の親友と会ったのですが、雨は友を連れてくる?
いずれにせよ、このところ呪文のように「有友自遠方来不亦楽乎」と唱えているような気がします。

近藤ようこ 「夜長姫と耳男」 (小学館)

坂口安吾の小説をもとにしたコミックです。「坂口安吾作品シリーズ」とありますから、もしかしたら、近藤さんには他の作品もあるのでしょうか?

凡人の想像力には限界があります。だから、耳男の彫ったバケモノの像も、夜長姫の笑顔も、頭の中で像を結ばない。それが近藤ようこさんの力を借りて初めて、鮮明なイメージとして受け取ることができたような気がします。美しい夜長姫の微笑みは、菩薩の微笑みのよう。およそ人の世に、菩薩の微笑みほど、凄みのある美しさを見せるものはないのかもしれません。

イアン・マキューアン 「贖罪 上・下」 (新潮文庫)

イアン・マキューアンは、なんとなく気にかかるイギリスの作家のひとりです。3部構成の長い小説ですが、まず小説全体を見通した緻密なきちんとした設計図を描いてから、言葉を選んで書いていると感じます。小説を書くというのは、そういうことなんですよね。マキューアンは才人なんでしょうが、才におぼれているという印象は受けません。

子供でもない、でも大人でもない13歳の少女。彼女の証言は、従姉が襲われた事件の真相を歪めるものでしかありませんでした・・・読み方によって感想も変わるでしょうが、第2部の最後のどんでん返しには息をのみました。小説を読んだ、という満足感が味わえます。

この小説、去年イギリスの本屋さんでベストセラーでした。映画化されて、そろそろ日本でも公開されますので、これ以上筋立てには触れますまい。
邦題は「つぐない」。「つぐない」というとテレサ・テンを思い出してしまいませんか?それに、贖罪と償いは、厳密に言えば、意味が違うのではないかと思いますが・・・

2008/04/11 23:52 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

見納めの桜

雨が降り始めました。明日の朝は、ひどい降りになるそうです。開花が早かったことを思うと、ずいぶんと頑張った今年の桜も、この雨で見納めになりそうです。

暖かな日曜日、友人の案内で井の頭公園から玉川上水沿いの桜を見てきました。この季節の井の頭公園は、初めて。やはり水辺の桜は、美しさが引き立ちます。花見客で、たいそうな人出でしたが、家族連れや仲間内のお花見が多いらしく、職場の花見の多い靖国神社あたりとは、雰囲気が違います。役目を終えた花びらが水面にたゆたうさまに、もののあわれを感じるべきか・・・
小さなお子さんには、スワン型ボートが大好評のようでした。
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公園を抜けて、玉川上水へ。そぞろ歩きながら、山桜を楽しみました。ソメイヨシノも良いけれど、山桜の可憐さが好き。これも山桜?
武蔵野山桜

さて、来年は、どこの桜を見よう。高遠の桜、角館の桜、が心に引っかかっているのですが・・・

2008/04/07 23:35 | 雑記COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

生ヤナギ、生ゴール

今年初めてのサッカー観戦。友人と武蔵小杉で待ち合わせて、行ってまいりました。そういえば、去年は、フロンターレvsアントラーズというリーグ開幕戦を、やはり等々力で見たような・・・心理的に近い武蔵小杉、なんでしょうか。等々力緑地では、散り始めた桜の花びらが風に舞って、こういうイギリスでいうCommonのようなスペースはいいですね。

川崎フロンターレ vs 京都サンガ @等々力

まだ、サンガの選手は、全員の背番号と顔とポジションが一致しません。初めて見たんだもん。仕方ないですよね。試合前、全員でとても念入りにストレッチをしていました。それが終わってから、ボールを使ってアップ。こういうの、大事かもしれない。特に、ヤナギのようなベテランになってくると、怪我はこわいですから。
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試合開始後は、このブロックは一応いっぱいになっていましたけれど、さすがに、京都から東京まで遠征してくるサポは少ないみたいです。強くなれば!
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FWは、ヤナギと田原の2トップ。いちおうMFの徳重さんを加えた変則3トップ?田原くん、かつては超高校級のFWと呼ばれた選手ですが、プロになってから伸び悩んでいるような、ニュースで見る限りそんな感じでしたけれど、今年はブレークしそうとのこと。もちろん、生で見るのは初めて。背が高いのでターゲットにはなるんですけれど、まだまだです。競り負ける、きちんと落とせない、などなど、足りないところが目につきました。ヤナギと組むことで、彼のプレーも変わりそうな気がします。これからですね。

アントラーズの試合を見慣れた目には、サンガのプレーぶりは雑に見えます。特に、攻撃に絡む選手が足りない。ユウトはどっちかというと、突貫小僧みたいな選手なので、攻撃を組み立てるタイプがいないのですね。その分、ヤナギくんの動きが目立ちました。下がって守備をする、自分からボールを貰いにいく、相手DFのボールに詰めていく・・・試合前の練習の時から、とても軽やかな動きでしたし、シュートも外していませんでした。調子よさそう、と思っていたら、後半も半ばを過ぎたあたりで、中山クンからのパスをうまくトラップして、相手DFをかわしながら、シュート。力まずに、ゴールにパス、のお手本のようなシュートでした。

フロンターレ、よく攻めていましたけれど、無得点。京都のGKを褒めるべきでしょう。そんなに背の高い選手ではないと思いましたが、判断がよかったですね。動きもきびきびしていました。シジクレイは、ど迫力。アタリバと外国人選手二人とも、フィジカルにも足技にも優れたプレイヤーです。ユウトにも1点取ってほしかったなぁ。

ヤナギくんは、とても自然にリーダーシップを発揮しているように見えました。練習中は特に。ゲーム中は、残念ながら、他の選手が彼のスピードと展開に追い付けない。フリーでボールを呼んでいても、パスが来ないことも何度か見かけました。一気呵成に攻めるべきところで一休みしてしまうので、リズムが途切れ、せっかくのヤナギのそれまでの動きが、本当の無駄走りで終わってしまう。交代で入った中山クンが、ヤナギと一番イメージを共有できているのではないかしらん。U-23にも召集されたことですし、要注目。

次の東京周辺での試合は、5月10日の千葉戦です。行こうかなぁ。

2008/04/06 11:55 | サッカーCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

4月1日

エイプリル・フールでしたね。嘘は苦手です。気の利いたJokeも言えません。私は、とても真面目な性格なのです。

わが国では、学校も会社も、今日から新年度が始まるのが普通です。外資系勤めの長い私は、ず〜っと暦年と会計年度が同じ、というサイクルで暮らしております。4月1日は、第2四半期始まりの日。

新入社員らしい若者たちをあちこちで見かけました。そういえば、先週は、入社前研修に召集された新人たちが、荷物をゴロゴロ引きずりながら、駅やホテルの入り口できょときょととしていましたっけ・・・人生長いか短いか、まぁ、頑張ってください、としか言いようがありませんが。

川上弘美 「古道具 中野商店」 (新潮文庫)

このところ、ちょっとしんどい本や、不満の募る本を読んでいたこともあって、小説の楽しさを満喫しました。カワカミわーるど、全開です。

中央線(と勝手に想像)沿線の街で、骨董屋ならぬ古道具屋を営む中野さん。ナカノハルオさん。唐突に「だからさぁ」と話を始める中野さんには、何度目かの妻子あり、恋人あり、お店も人を雇えるほどには儲けが出ている様子です。中野さんには、芸術家ゲイジュツカのお姉さん、マサヨさんがいて、しょっちゅうお店にやってきます。店番のわたし(ヒトミちゃんという名前です)は、中野さんの助手のタケオがなんとなく気になっています。

古道具屋さんには、いろいろな人がやってきます。売りたい人、買いたい人。ダメ男っぽい中野さんですが、どうして商売のツボは外していません。そして、この古道具屋を舞台に、中野さんとサキ子さん、マサヨさんと丸山さん、そして、ヒトミちゃんとタケオ、この3組の、なんとなく現実離れした「恋」のお話が進んでいきます。

川上さんは、五十になるかならないかのお歳ですが、マサヨさんは五十代半ばの設定です。ちょっと上の世代の気持ち、よくお分かりですね。近くにこういう店があれば、私、常連になる。店員を募集していたら、老後の暇つぶしと健康維持のためにぜひ雇っていただきたいと、押しかける。

なんだかね、春の気配の漂うおはなし。猫の恋?

2008/04/01 23:39 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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