アフリカのシンドラー
「ホテル・ルワンダ」という映画があります。映画の日本公開を前に、その映画のモデルになったポール・ルセサバギナさんが来日して、各地で講演したという囲み記事を、先日新聞で読みました。
ああ、やっと公開されたのだ、と嬉しくなりました。
とてもよい映画です。もちろん、映画化にあたってはそれなりの脚色があるのだと思いますが・・・
まず、主人公が聖人君子でないところがいい。ホテルのお酒やシガーを、ちょっぴり頂戴して、それを賄賂に使って権力者に取り入る。もちろん、自分もいい思いをしているけれど、すべては愛する妻や子供に「いい暮らし」をさせるため。大統領の暗殺がきっかけとなって部族の対立が激化し、国が内戦状態になった時も、実は自分の家族だけがうまく脱出できればいいと思っていた・・・そんなきわめて小市民的な主人公が、ほんのちょぴり他の人より多く持ち合わせていた洞察力と機転のせいで、多くの人をホテルに匿い、1200人もの命を救うことになったというお話。
ルワンダでは、フツ族が多数派で、ツチ族が少数派でした。ベルギーの植民地時代を通じて、豊かで少数派のツチ族と、貧しい多数派のフツ族という構図が出来上がったのです。ところが独立後、権力を握ったのはフツ族であったといいます。ルワンダの大虐殺にいたるまでには、長い複雑な伏線があったに違いありません。この映画に示されたものも、ルワンダ大虐殺に対する一つの見方でしかないでしょう。
しかし、80万人もの人々が虐殺されたことは事実です。そんな思い題材を、事件からあまり日をおかずに真正面から取り上げて映画化した意気やよし。俳優さんたちもいいし、べたべたとした感傷に流れることのない演出もいい。
この映画、私は昨年、アメリカからの出張帰りに、飛行機の中で見ました。日本で公開の話をきかないしどうしたことかと思っていたら、国内の配給会社は買い付けず、「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」の活動が実って、やっと公開にこぎつけたとのこと。今回、映画館に足を運んではいませんが、このような地味な映画の公開を求めて活動した多くの方々の努力には、改めて拍手を送ります。
しかし、ポールさんとシンドラーさんとは、生きた時代も思想も違うはずです。人助けをしたから「シンドラー」というわけでもないでしょうに。安易なネーミングは嫌いです。
2006/01/31 00:47 | 映画 | COMMENT(3) | TRACKBACK(0) TOP







