歌のちから、声のちから
昨年末に見た劇団新感線のロックミュージカルSHIROH」が、ゲキXシネというものになったというので、見に行ってきました。
映画館のスクリーンで見るのですが、映画ではありません。基本的には、舞台をそのまま撮影したものです。が、舞台中継スタイルではなく、カメラが自由に動き回って登場人物に寄り添って行ったり、若干の映像処理が施されたりしています。
島原の乱の指導者、SHIROHは二人いたというお話。一人は、島原の益田四郎時貞。もう一人は、天草の孤児シロー。幼い頃持っていた不思議な力をなくした島原の四郎は、反乱の旗頭に祭り上げられることを拒んでいます。一方、天草のシローの歌には人の心を操る力があります。リオという少女の幻に導かれるように、この二人が出会い、3万7千の群集を率いて立ち上がるのです。そこに、知恵伊豆と呼ばれた松平伊豆守や彼の使う密偵たちが絡んで、一直線にカタストロフへと突き進んでいく悲劇。
舞台とゲキXシネと両方見たわけですが、迫力はやはり舞台。でも、帝劇のような大きな舞台では見ることがほぼ不可能な、役者さんたちの細かな感情表現などを見るには、ゲキXシネ。
しかし、このお芝居(ミュージカル、と言うべきですが)は、ほぼ全篇歌いっぱなしなのに、役者さんたちが見事です。四郎役の上川隆也サンは舞台栄えがして見事なものですし、シローの中川晃教サンは役柄ではなく彼自身が「神の声」の持ち主だと思います。メッセージを歌にのせて届けることのできる稀有の才能を持った人。
そうそう、女優さんたちも、涙を流しながら演じています。歌だから、台詞よりも感情移入が激しくなるのでしょう。
声のちから、歌のちからに圧倒されます。
伊豆守の台詞には、「反乱のエネルギーを一箇所に集めて大きな花火を上げる」、「欲しいのは3万7千の死体ではない。3万7千を鎮圧したという言葉だ」など現代への比喩がいくつか。これらの言葉に込められた作者の今の時代の私たちへの思いは、役者さんたちが生身をさらしている舞台のほうが強く感じられたような気がします。映像だと、流れていってしまうんですよね。不思議なことに。
荒削りな、不思議なエネルギーにあふれたお芝居です。ゲキXシネは、9月9日まで渋谷のシネクイントで上映中。
いかがですか?
2005/08/31 06:36 | 舞台 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP



